英語が苦手でも大丈夫、私が実践した外国人観光客への対応方法

国内の観光名所では、外国人観光客を見かけることが当たり前になりました。そこで問題になってくるのが、外国人観光客への英語での対応です。観光案内所のスタッフは、日本人だけではなく、中国、韓国、アメリカなど様々な国の観光客に対応することを求められています。実際に私は観光地のスタッフとして外国人観光客に案内をしてきました。この記事では、英語が苦手な日本人が外国人観光客にどのように対応したら良いか、私の経験をもとに紹介しています。

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増加している外国人観光客

増加している外国人観光客

グローバル化が進み、外国人観光客が増えています。全国の有名な観光名所に旅行をすれば、日本人よりも外国人の方を多く見かけることも少なくありません。海外から日本への旅行を意味する「インバウンド」という言葉も一般的になりました。特に、韓国、中国、台湾などアジア圏からの旅行が全体の半数以上を占めています。九州から中国への飛行機は、片道1万円以下で2時間ほどで到着する時代です。昔と比べれば、アジアの人々にとって日本は気軽に行ける観光スポットになっているのでしょう。

私は観光案内の仕事をしていたことがありますが、毎日のように外国人観光客が訪れていました。ツアーの団体客、友人と一緒や夫婦での個人旅行、一人旅など、様々な外国人観光客がいました。外国人観光客が来ることによってパンフレットや案内の多言語化やクレジットカード決済の導入などが必要になる一方で、外国人がお土産を買ったり、食事をしたりすることで、その地域の経済が潤います。昔はマナーが悪いとして喜ばれなかった外国人観光客も、現在はその逆で積極的にインバウンドを呼び込もうとしている自治体、観光地が数多くあります。

困惑する日本人スタッフ

困惑する日本人スタッフ

私が観光案内の仕事をしていたときは、簡単な会話程度であれば日本語を話せる外国人や、日本人の知人と一緒に旅行に来ている外国人もいました。しかし、当然ながら大半は日本語を話せません。日本人が海外へ旅行をするときは、翻訳のアプリや本などを使って頑張ってその国の言語で伝えようとすることがあります。一方で、日本に来た外国人観光客が日本語で伝えようとすることは少なく、当然のように英語で話しかけてくるケースが多かったです。

日本人は中学、高校、大学とずっと英語を勉強しているにも関わらず、なぜか英語を話せない人が圧倒的に多いです。その理由は様々言われていますが、授業内容が文法や長文の理解などに重点が置かれて、英語を話したり書いたりすることはほとんど授業に含まれないことがあると思います。また、日本は無理して海外へ出なくても、国内だけである程度の規模のマーケットがあるので、英語を本気で勉強するモチベーションが低いのかもしれません。

日本人は英語に苦手意識を持っている人が非常に多く、外国人と対面するだけで緊張してしまう人もいるでしょう。だからと言って観光地のスタッフが外国人観光客を無視するわけにもいかず、何を言っているのか分からない、何て話せば良いのか分からないと困惑しながら頑張っていると思います。有名な観光名所であれば英語を話せるスタッフやガイドを雇って常駐していることもありますが、それが厳しい地方の観光地であれば、自分たちで対応しなければいけません。

どのように外国人観光客に対応するか

外国人観光客の対応方法

私は英語のリーディングとリスニングの勉強はある程度してきましたが、話すことに関してはほとんどできません。そんな英語のできない私が、外国人観光客にどのように対応してきたのか紹介していきます。

頻繁に聞かれるフレーズを覚える

外国人観光客から聞かれる内容は似ていることが多いです。例えば、バスや電車の乗り方、最寄り駅から観光地までの行き方、トイレや食事ができる場所、レンタサイクルを借りたい、タクシーを呼んでほしい、クーポンを使いたいなどがあります。また、海外の観光客は基本的にスーツケース(キャリーバッグ)を持っているので、それを預かってもらえる場所を聞かれることも多かったです。

聞かれる内容が偏っているため、それらへの回答となる英語のフレーズを覚えておけば対応できます。私の場合は、複雑な内容に関しては覚えられないのでメモをしていました。また、観光地でお土産屋を経営している私の知人は、英語以外にも5ヶ国語くらいの簡単なあいさつだけを記憶していました。外国人観光客にとっては、あいさつだけでも自国の言葉で話しかけられたら嬉しいでしょうから、あいさつを覚えるというちょっとした努力でお店の売り上げにつながるかもしれません。

頻繁に聞かれる内容は、そもそも案内として最初から書いておくのがおすすめです。例えば、トイレの場所に関しては、紙に「Toilet」という文字、トイレのイラスト、トイレの方向を示す矢印などを書いて目立つ場所に貼り付ければ良いでしょう。そうすれば、観光地のスタッフが対応する頻度は減りますし、外国人観光客にとっても話しかける手間が省けて楽でしょう。

見せながら話す

言葉だけで伝えようと思うと高度なスピーキング力が必要になりますが、何かを見せながら説明すれば、簡単な英語でも分かってくれることが多いです。

例えば、最寄り駅から観光地までの行き方を伝えるとき、もしも地図が掲載されたパンフレットなどがあれば、それを見せながら「now here」などと言って現在地を指差し、後はそこから目的地までを指でなぞれば分かってくれる可能性があります。パンフレットに記載されている範囲外の観光スポットやお店の場所を聞かれた場合には、Googleマップの画面を見せながら同じように説明する方法もあります。

トイレの場所を聞かれたなら、「there」と言ってトイレがある方向を指で示すだけでも分かるかもしれませんし、時間に余裕があれば笑顔で「Yes, OK」などと言ってトイレの場所まで付き添って案内しても良いわけです。

何かを用紙に記入してもらう必要がある場合、実際に用紙とペンを渡して、記入してほしい項目を指差すだけで伝わることもあります。可能であれば、指を指しながら「name」や「phone number」などと記載する内容を英語で伝えるとより分かりやすいでしょう。

他にも、電車の乗り換えであれば、私は「Yahoo路線情報」のサイトを見せていました。スタート地点とゴール地点の駅名を入れると、途中の乗り換えなども表示してくれるサイトです。視覚的に乗り換えが必要な駅の名前や数が分かるので便利です。乗り換えの駅名に関しては、漢字が読めないので「〇〇 station」と読んで教えてあげます。必要に応じて、Yahoo路線情報の画面をスマホで撮影している外国人もいました。

このように、何かを見せたり、指で示しながら説明すると、決して難しい英語を使わなくても十分に伝わるケースが何度もありました。

Google翻訳を使う

覚えていた簡単なフレーズや何かを見せながら説明しても伝わらない場合、Google翻訳を使う方法があります。使い方は非常に簡単で、パソコンやスマホで翻訳したい日本語を入力して何語に翻訳するのか選ぶだけです。翻訳が終わったらその画面を相手に見せれば良いです。インターネットにつながれば誰でも無料で使えます。

昔はGoogle翻訳は精度が低くて意味の分からない英語に変換されていましたが、近年はAIの進化によって自然な文章に近づいています。Google翻訳で正しい結果を得るためには少しコツがあります。日本語で会話をするときは主語を省略したりしますが、Google翻訳で日本語を入力する際には、主語、述語、目的語を全て入れることを意識して簡潔に書くと翻訳結果の精度が上がると思います。

ポケトークを使う

夢の翻訳機と言われる「ポケトーク(POCKETALK)」が話題です。対応している言語は現時点で70言語以上、話した内容を瞬時に翻訳してくれる便利さから、様々な企業でも導入されています。また、外国人が多く利用するゲストハウスや飲食店などでも使われ始めています。

私も実際に使用していましたが、使い方は簡単です。翻訳したい言語を選び、ボタンを押しながらポケトークに向かって日本語でしゃべると、翻訳した結果の音声が流れます。電子機器の操作に慣れている若い人にとっては難しくありませんが、年配の方にとっては少し練習が必要かもしれません。

頻繁に外国人観光客が来るような場所や、中国語など英語以外の言語も必要となる場合には、ポケトークは活躍できるでしょう。私が対応した外国人観光客の中には、英語が分からない人も何人かいたので、そのような場合には覚えていたフレーズも利用できず、ポケトークが便利です。

デメリットとしては、まずは値段が高いことです。記載時点で3万円以上の値段がするので、それほど多くの外国人観光客が来るような場所でない限り、支払った価格以上に使いこなすことは厳しいかもしれません。まずは、無料のGoogle翻訳などでしばらく対応してみて、それでもポケトークの方が良いと思うなら切り替える、という順序が良いと思います。

また、仕方がないことなのかもしれませんが、翻訳した結果が正しいのか分からないことがポケトークを使っていていつも不安でした。一応、翻訳した結果は音声の他に文章でも表示されます。しかし、中国など英語以外に翻訳すると、それが正しいのかどうかが全く分かりません。そこはポケトークを信用するしかなく、ポケトークの翻訳AIがさらに進化するのを待って精度が上がってから購入するのもありだと思います。

自分の英語力を上げることも大切

自分の英語力を上げることも大切

ここまで説明してきたように、工夫次第では英語のスピーキング力が低くても、外国人観光客の対応はそれなりにできます。ただし、そうは言っても、英語力が全くないのとあるのでは対応の質も変わるでしょう。私の場合、英語は話せませんが、TOEICや英検の勉強を頑張ってきたのでベースとなる知識はあります。

外国人観光客への対応で必要となるのは、相手が何を言っているのか理解するリスニング力でしょう。何を言っているのか分かれば、Google翻訳などを使って対応できます。リスニングができるためには、英単語や疑問詞の意味が分かるといったリーディングの能力も必要ですから、TOEICや英検などで自分なりに目標を立ててモチベーションを保ちながら、リーディング、リスニングという順序で勉強をするのが良いでしょう。

さらにモチベーションが高い人は「DMM英会話」などの有名な英会話サービスを受講するのもおすすめです。

世界各国の講師とマンツーマンでレッスンができるので、リアルな外国人と話すことに慣れることができます。レッスンで外国人との会話に慣れれば、普段の業務においても外国人観光客と自然に会話できるようになり、多くの人にその地域の旅行を満足してもらえることでしょう。

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